瀟木子

瀟木子 ステイトメント

 

私は作歴のごく初期に木の匙を削る機会を得て社会に関わる 糸口を見つけました。

この作業は私を多いに勇気付け、以来久しく匙を削っています。

暮らしに彩りを添える道具作りを心掛けてきましたが一方で 機能に必要のない樹皮や製作の効率を落とす節や曲がりにも 木の精妙さを感じるようになりました。

ある日、オリーブ枝を自然の形を辿るように匙に削ってみたところ、その作業が私を癒し解放することに気が付きました。

それが「匙屋」とはまた別の作品群、「瀟木子」(しょうぼくし)の始まりです。

物作りの世界でいわば匙語しか話せない私は、瀟木子においてもやはり匙の形で出会った木を 理解しようとします。 樹皮の色や枝の曲がり具合を匙語に翻訳、つまり匙の形に当てはめながら削り、くり抜く作業を経て、私はその木の精妙さに触れることができます。

最初に答えがあるわけではありませんし取り組んでみて訳しきれない木も沢山あります。

私に翻訳を許してくれる素材との出会いでようやく瀟木子の作品は成り立っています

瀟木子

 

瀟木子 - Sho Bok Si - とは20年前に恩人が私に名付けてくれた雅号で、「洒落た木の細工をする者」という意味が込められています。